2021.04.28

【日露青年交流協議会・独占インタビュー】
ロシア連邦文化科学協力庁駐日代表部・イーゴリ・チトフ代表インタビュー
「より深い文化交流を通じてロシアと日本の相互理解を深める」

Today's Guest

イーゴリ・チトフさん

ロシア連邦文化科学協力庁駐日代表部代表。在日ロシア連邦大使館参事官。昨年、「一般社団法人 欧亜創生会議」と連携し、半官半民の団体「日露青年交流協議会」を発足。同団体主催で、ロシアの都市の魅力に関するオンラインプレゼンテーション「もっとロシアを知ろう」や日ロスタートアップ企業に関するカンファレンス「Japan-Russia Startup Online Conference」を開催。またロシア映画に関するイベント「映画に学ぶロシア人の常識」では自らプレゼンターとして登壇するなどしている。

日本・ロシアに縁をもつ「人」にスポットを当て、その「人」を紹介、そして「人」を通じて、ロシアの魅力や 日本とロシアの関わりなどを、車でドライブするような冒険心を持って発信していく「日ロドライブ」

 

第23回は特別編。
今回は、「ロシア連邦文化科学協力庁駐日代表部」(Россотрудничество в Японии(ロスソトルードニチェストヴォ))「一般社団法人 欧亜創生会議」が立ち上げ、日ロドライブの運営母体である「一般社団法人 日ロ文化交流推進協会」も事務局として参画する「日露青年交流協議会」による、ロシア連邦文化科学協力庁駐日代表部 イーゴリ・チトフ代表への独占インタビューです。

 

日ロドライブは今後、日露青年交流協議会のメディアパートナーとしても取材・情報発信活動を行っていきます。

読者の方々にとって、これまで以上に気づきを提供できる情報を発信していく所存ですので、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
(以下、チトフ代表へのインタビューです)

ロシア連邦文化科学協力庁(Россотрудничество)とは?

--今日はよろしくお願いします!とても緊張しています(笑)まず最初にチトフさんが代表を務めていらっしゃるロシア連邦文化科学協力庁の活動について教えてください!

ロシア連邦文化科学協力庁の長い歴史はソ連時代に遡り、海外との文化交流、学術交流、教育交流などを行うために作られた組織です。
近年は外国に住んでいるロシア人との交流や彼(彼女)らへの支援も活動の一つに追加されていますが、ロシアと海外の国々との地域間交流、文化交流、教育分野の交流が主な活動です。

ロシア連邦文化科学協力庁は外務省の管轄にある組織で、世界80カ国に97の代表部を設置しています。
各国の代表部は駐在人数が1人の国もあれば、10人以上が駐在している国もあります。「ロシア会館」のような場所が設置されている国もありますよ。
その会館では、様々なゲストを招待したり、行事や事業を行うなどしています。
具体的には、日本を含め海外の学生らを同会館に招待したセミナーの開催、ロシアから音楽家のグループを招待してのアンサンブルなどですね。

また、もちろん文化交流だけではなく、知的学術交流などにも取り組んでいます。
昨年、ロシアと日本のスタートアップ企業の交流を目的に、ロシア連邦文化科学協力庁駐日代表部がRoutex inc.と一緒に開催した「Japan-Russia Startup Online Conference」などはその一例です。
他にも、ロ日政府間の協定により、毎年100人程度選抜された日本人学生が、ロシアの大学で無料で学べる制度があるのですが、その実務面をロシア連邦文化科学協力庁が担うなどもしていますよ。
昨年は85人が参加したのですが、コロナ禍ということもあり、実際にロシアに行ったのは数人で、残りの学生はオンラインでの参加という形になりました。

その他、ロシア連邦文化科学協力庁駐日代表部の活動はFacebookページをフォローすることで確認することができます。
ほとんど毎日、興味深いロシアの大学や文化、交流活動の紹介などに関する投稿をしてますよ。
ロシア映画に関する講演会の開催報告やロシアの大学、かの有名なマリンスキー劇場のオンラインコースの案内などが投稿の具体例ですね。
Facebookページには、他の政府機関からも「案内を掲載してほしい」という依頼が殺到しているため、ロシア連邦文化科学協力庁駐日代表部以外の組織の案内も投稿していますが、ロシア連邦文化科学協力庁駐日代表部の活動を知ってもらえる一番のツールだと思っているので、ぜひみなさんフォローしてください。

(写真:イーゴリ・チトフ代表)

 

--ありがとうございます!たしかにロシア連邦文化科学協力庁駐日代表部のFacebookページは情報が盛り沢山ですよね!先ほどオンラインの活用のお話が出ましたが、コロナ禍で、ロシア連邦文化科学協力庁の活動にも大きな影響があったことと思います。

コロナ禍で活動はものすごく変わりましたね。
実際にオフラインで行われる、文化交流を目的とした事業が本当に少なくなりました。
代表団やアーティストなどをはじめとするロシアからのゲストが来れなくなりましたからね。

なので、今年度はオンラインでのイベントを数多く開催したんです。
昨年度から始めた「もっとロシアを知ろう」と題した、ロシアの各州を紹介するオンラインイベントはこれまでに8回開催していますし(※インタビュー時点)、今後はロシアの様々な大学に関するプレゼンテーションもオンライン上で行っていく予定です。
オンラインへの活動の移行はスムーズに進めることができたと思っていますね。

 

ロシア映画について

--「もっとロシアを知ろう」には日ロドライブのスタッフも頻繁に参加させてもらっていて、毎回、どの州のプレゼンテーションも魅力的で楽しいです!先ほど映画の講演会のお話しも出ましたが、チトフさんはソ連時代のコメディ映画がお好きだとお聞きしました。ぜひロシア映画についてのお話もお聞きしたいです!

まず前提としてお伝えしたいのは、「ソ連時代の映画」も「ロシア連邦になってからの映画」も区別することなく、総じて私たちは「ロシア映画」と呼んでいるということです。
ソ連時代から映画は何も変わっていないんです。
ただ、ソ連時代にはいい映画がたくさんありましたが、80年代と90年代はいい映画がほとんどなくて、これは1980年代に始まったペレストロイカによって、計画経済から市場経済に移行する中、経済全体に波乱が起きて、その波乱が映画産業にも打撃を与えたことが理由ではないかと思っています。

ちなみに、コメディは私も含めロシア人が一番好きな映画のジャンルだと思います。日本人もそうかもしれませんね。
コメディ映画の監督には素晴らしい監督がたくさんいました。名作と呼べるような映画は滅多にできませんが。
映画を通じて、ロシアの歴史を学ぶことができますし、それによって今のロシアのあり方についても知ることができますよ。

 

チトフ代表おすすめの映画

--たしかに映画を通じて学べることは万国共通でたくさんありますよね。ぜひ、チトフさんのおすすめの映画も教えてください!

ロシア人が名作と思うような映画の中でも、ぜひ外国の方々に知ってもらいたい映画がいくつかあります。
そのほとんどはコメディ映画です。

まずは、レオニード・ガイダイ監督の作品で、「ダイアモンドアーム」「コーカサスの虜」「オペラ–ツィア・ウィー、もしくはシューリクの冒険」、トマス・グティエレス・アレア監督の「12の椅子」、ウリヤーナ・シルキア監督の「黄金の仔牛」、そして、ゲオルギー・ダネリヤ監督の「幸運の紳士たち」です。

これらの映画を見ずして、タルコフスキー監督をはじめとする、その他有名なロシア人映画監督の作品を鑑賞するのは早いですよ。
私が今挙げた映画は、ロシア人たちにとって、とても身近で何百回と見られている作品です。
私自身、面白いと思った映画であっても基本的には一度しか見ませんが、これらの映画は何回も見ていて、何回見ても飽きないくらい面白いですよ(笑)

 

最近のロシア映画のレベルの高さ

--ありがとうございます。最近のロシア映画について、チトフさんはどう思われますか??

最近は、ものすごくたくさんいい映画が制作されていると思っていて、ここ5、6年ですかね、私もびっくりするような映画がたくさん公開されています。
アメリカ映画が、もう見たくなくなるようなレベルの高さです(笑)
最近の映像作品では、ロシアのとある文化人の方も褒めていましたが、「自宅の軟禁」というコメディ映画が有名です。おすすめの作品ですね。

ほかにも、最近の興味深い映画として、スマートフォン使って撮影された「一番いい1日」という作品があります。
有名なタレントも俳優として参加しているんですが、スマートフォンならではの自撮りを用いたカメラワークや撮影手法が独特で、とても面白いです。ぜひ見てみて下さい!
これは、何度見ても面白いと思う作品の一つだと思います。

最近のロシアでは優秀な映画監督がたくさん生まれていますが、これはロシア国内のTV事業の発達にも要因があります。
ロシアではTV事業も発達していて、54ものチャンネルがあり、しかも無料で視聴できるんです。
インターネットを利用した放送については1000〜2000以上、数えきれないほどチャンネルがあります。

各チャンネルが、撮影会社に番組制作を発注するんですが、そうして、多数の番組が制作されることで、監督を含めた撮影スタッフの技量が少しずつ上がっていって、今に至っているんです。

昔は、少数のチャンネルしかなく、制作されるTV番組も少ない、そして、それだけ撮影会社の仕事も少なかったわけですから、現在の撮影監督やスタッフは、当時とは比べものにならないほどの技量を身につけていますよ。

 

--最近のロシア映画のレベルの高さには、そうした要因もあったんですね!

そうなんです。
ちなみに、私は日本の映像作品や俳優の方も大好きですよ。
例えば、テレビドラマ「半沢直樹」に出演されている俳優の方は皆さん素晴らしいですよね。
他には、渡辺直美さんなども素晴らしいと思っています。
ただ、ロシアには「半沢直樹」に出演されていた俳優の方に勝るとも劣らない俳優がたくさんいますよ(笑)!

 

情報の提供を通じて、日本人とロシア人の相互理解を深める

--ありがとうございます!まさか半沢直樹がチトフさんの口から出ると思いませんでした(笑)最後の質問になるんですが、チトフさんは、ロシア連邦文化科学協力庁駐日代表部として、様々な活動やイベントを開催していらっしゃると思います。それらを通じた今後の目標などについて教えていただいてもよろしいですか?

そうですね、映画に関する講演会や日露青年交流協議会を通じた活動、また今年日本各地で開催予定のユーリイ・ガガーリンの写真展などもそうですが、私たちが参画するイベントを通じて、ロシアの文化をもっと深く知ってもらうための情報を提供し、日本人とロシア人の相互理解を深めることが目標です。
そのために私たちは活動しています。

残念ながら、今年はコロナによって、ロシア文化フェスティバルのプログラムなどもほとんどが延期になりましたが、私たちとしては今後、様々なテーマで講演会をはじめとする各種イベントを開催する予定です。
イベントは一方的に私たちが話すだけでなく、自由な意見交換ができるようなものにしていきたいですね。そっちの方が面白いですから。

これまでにオンラインで開催したロシアの観光や大学に関するプレゼンテーションはこれからも続けていきますし、今年各地で開催予定のユーリイ・ガガーリンの人類初宇宙飛行60周年を記念した写真展については、現在開催が決定している東京都、石川県、山梨県、新潟県、香川県(5月。高松市美術館)以外の都道府県でも順次開催していきたいと思っています。
写真展の目標は各県で、少なくとも一回ずつ開催することですね(笑)

また、ロシアといえばクラシック音楽が有名ですが、そうでない近代的な音楽、例えば、ロシアのジャズやロック、あるいはポップスなどのコンサートを日本で開催して、クラシックだけでないロシアの音楽を日本の皆さんに知ってもらい、現代のロシアへの理解も深めてもらいたいと思っています。
ぜひ日本の皆さんにご紹介したい、素晴らしいジャズピアニストとジャズギタリストを見つけたので、日本に招待したいですね。

他にも、約一年ほど継続しているプロジェクトとして、ロシアでは有名でありながら、まだ日本では知られていない、「新しい」ロシアの歌に焦点を当てたプロジェクトを進めています。
そのプロジェクトでは、日本の歌手の方に、そうした「新しい」ロシアの歌の歌詞や楽譜を提供して、大使館で収録を行い、映像を撮影、その映像をYouTubeにアップするなどしているんです。
今後もこのプロジェクトは継続していく予定で、近日中にも新たなレコーディングが行われる予定になっています。

 

--プロジェクトが目白押しで、とても楽しみですね!ありがとうございます。質問は以上になるんですが、ぜひ最後に何か一言いただいてもよろしいでしょうか?

私たちは、ぜひ今後とも日ロドライブとは協力していきたいと思っています。
色々な資料などを提供することもできますので、ぜひ今後とも協力していきましょう!

 

--そう言っていただけるととても嬉しいです!こちらこそ、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします!今日は本当にありがとうございました。

 

イーゴリ・チトフさんが代表を務めていらっしゃるロシア連邦文化科学協力庁駐日代表部の情報はこちらから

HP:https://jpn.rs.gov.ru/ja

Facebook:

 

 

 

(インタビュアー/山地ひであき、安本浩祥)

 

(※同インタビューは3月に行われたもので、感染症対策を行った上でインタビューを実施しています)

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