2021.05.26

国際的な情報を発信するクオリティマガジン「lector Inspirits」の編集長・三宅綾香さんインタビュー
「ロシアのみならず、日本にない新しい目線による記事を提供したい」

Today's Guest

三宅綾香さん

立命館大学大学院卒。現役大学生たちが創る硬派なクオリティマガジン「lector inspirits」の二代目編集長を務める。ロシアを始めとするユーラシア地域との交流を目的とした団体「一般社団法人 欧亜創生会議」の専務理事も務めるほか、「関西日本香港教会」では事務の仕事も行っている。

 

日本・ロシアに縁をもつ「人」にスポットを当て、その「人」を紹介、そして「人」を通じて、ロシアの魅力や 日本とロシアの関わりなどを、車でドライブするような冒険心を持って発信していく「日ロドライブ」

 

第24回のゲストは、日ロ関係を始めとした国際的な情報を発信するクオリティマガジン「lector Inspirits」(以下、インスピリッツ)の編集長・三宅綾香さんです。

 

「現役大学生たちが創るー硬派なクオリティマガジン」と銘打たれたインスピリッツは、文字通り現役大学生を中心に編集部が構成されている雑誌です。
三宅さんも学生時代から参画し、現在は二代目編集長を務めていらっしゃいます。
また、インスピリッツは第21回でインタビューさせていただいた安本浩祥さんが代表を務める「一般社団法人 欧亜創生会議」(以下、欧亜創生会議)の機関誌としての一面もあります。

三宅さんも、欧亜創生会議の発起人の一人で、会議内では専務理事の肩書きを持っていらっしゃるほか、ご自身の研究に関連して、関西日本香港協会での事務の仕事もされていらっしゃるんだとか。

 

インタビューではインスピリッツについて、そして日本で知らない人はいないであろう、あのロシア人の大ファンであるという三宅さんの熱い思いをお聞きしてきました。

目次

「インスピリッツ」への参画のきっかけ

--今日はよろしくお願いします!まず最初に、三宅さんの自己紹介をお聞きしてもいいですか?

こちらこそよろしくお願いします。
私は立命館大学の出身で、大学院も立命館大学です。
大学及び大学院では政治について研究していました。
現在は、インスピリッツの二代目編集長を務めているんですが、インスピリッツに参画したのも、その大学時代からです。

大学院を卒業後、一般企業に就職しようかどうか考えていたときのことなんですが、インスピリッツの編集メンバーがいなくなってしまう事態になるんじゃないかって時期があったんですね。
私としては、このままインスピリッツを廃刊してしまうのは、これまでの積み重ねを考えると、あまりに惜しいと思って。
そこで、インスピリッツの存続に何かしら貢献できないかと考えた結果、編集長に就任して、雑誌作りを本格化していきたいという思いが生まれたんです。

雑誌作りを本格化していく上で、自身の職業もそういったことを活かせる仕事じゃないとダメだと思い、知り合いの紹介で、関西日本香港協会という団体で事務の仕事をさせてもらっていて、今も続けています。

関西日本香港協会は、日本と香港で貿易をされている方々が会員の団体なんですが、ここで団体の活動を事業化していくためのノウハウを学びたいなと思ったんです。
学んだノウハウは、専務理事に就任させていただいている欧亜創生会議の今後の活動に役立てたいと思いながら仕事をしています。

 

--三宅さんの中で、事業化というのも一種のキーワードになっているんですね!そんな三宅さんの職業選択にも影響を与えたインスピリッツなんですが、三宅さんはどういった経緯で参画されることになったんですか??

私は政治関連の学部に所属していたんですが、大学では学生は何かしら研究をしないといけませんよね。
ちょうど二回生のときです。
それまで私は縁あって、イギリスと香港について研究していたんですが、たまたま、その年の夏に日本JCの主催する日ロ交流プログラム「ロシアミッション」の案内を受けて、参加することになったんですよ。
その交流プログラムでロシアに行ったことがきっかけで、ロシアの政治に関心を持つようになって。
当時、周囲でロシアを研究している人は少なくて、謎が多い国=面白い国(ロシア)といった感じで、ロシアの研究を始めました。

「ロシアミッション」のOBや日本JCの方々からすると、ロシアの政治的な面に関して、継続的な関心を持っていることが珍しかったらしく、そこからインスピリッツの編集部を紹介されたことが、インスピリッツで記事の執筆を始めたきっかけです。

 

“とある人物”の大ファンであることがロシアへの関心を保ち続けるモチベーション

--「ロシアミッション」への参加がロシアに関心を持つようになったきっかけだったんですね。「ロシアミッション」の参加者の中でも、ロシアの政治的な分野に関心を持ち続ける人は珍しいとのことでしたが、三宅さんのロシア研究のモチベーションの部分についてもお聞きしていいですか?

そうですね、表向きには、「ロシア人たちの不器用さが好きになったんだ」と言っているんですが…
実のところ、一人の女子としてウラジーミル・プーチン大統領の大ファンであることがロシアに関心を持ち続けている理由です(笑)

これは思想的に傾倒しているとか、そういう意味合いではなくて、ポップな意味で、ミーハー的にプーチン大統領が大好きなんです(笑)

遠い未来、歴史を振り返ったときに、私たちの教科書に載っているような政治家というのは、この時代ではプーチン大統領くらいしか思い浮かばないと思っていて。
人として、そのくらいのオーラと求心力を持っていますよね。
2000年に大統領就任後、このような時代において、約20年もの間、あの大きなロシアを一人で治めてきたわけですから。

プーチン大統領の話術や提供する話題といったものについても、政治家としてではなく、一人の男性として見たときに、本当に魅力的に感じていて(笑)
半分恋愛感情ですね(笑)

日本とロシアの領土交渉についても、せっかく上手く進みかけていたのが、プーチン大統領の一言でダメになってしまったというようなイメージはありますが、その発言に至る経緯について、「人」としてのプーチン大統領に着目して考えると、また違った視点が見えてきて、面白いんですよ。

正直なところ、ロシアでは政治と経済が日本以上に密接に関わり合っているので、お金を持っていることが政治力の強さに直接的に結びつきます。
ソ連崩壊後、財を成した新興財閥等が多数いる中で、プーチン大統領がそこをコントロールして、大統領のポジションに留まっている理由は、力だけでなく、人間性などあらゆる要素が揃っているからだと思います。
そういう意味でも、「人」としてのプーチン大統領への関心を強く感じるんですよ。
今の時代で、プーチン大統領以上に、私が関心を持てる男性はいないと言っても過言じゃないかもしれません(笑)

 

「学生たちへの啓蒙」を目的に発行

--プーチン大統領に恋する女性…!いいですね!!初めて出会いました(笑)少し話が戻ってしまうんですが、三宅さんが編集長を務めていらっしゃるインスピリッツについても聞かせてください!

インスピリッツは元々、大学機関にお配りさせていただいている雑誌で、最近ではコワーキングスペース等、私たちと同世代の人たちの目に止まるような場所に置かせてもらっています。
社会人になる前で、まだ社会的な自分の物差しが出来上がっていない学生やこれから何か新しいことを成したいと思っている若者たちに、「もっと政治のことを知ってもらいたい」、「日本という国のことを考えてもらいたい」というのが発刊の趣旨です。

目的という部分で言うと、「学生たちへの啓蒙」という面が大きいですね。

私たちと同世代における認識の中では、英語等、外国語を話せる=国際人というイメージが根強くあると思います。
これは私の主観ではあるんですが、同世代の外国の子たちと話をすると、その子たちは、自分の国のことをすごく理解しているんですね。政治であったり、文化であったり、歴史であったり。
その子たちとそういう話をしているときに、私自身は自分の国(日本)について、全然語れないなと思ったんです。

自分の国のことをよく知って、海外のことも知る。
これを日本の若者ができていないことが、日本の国際競争力の低下に繋がっていると思います。
海外に憧れを持っている日本人は、非常に多いと思うんですが、海外に目を向ける前に、自分が日本人である限り、日本のことをよく知ることが必要だと思っていて、自国を理解することこそが国際人への道の第一歩だと思うんです。

なので、インスピリッツには自分の国(日本)のことを考えてもらえるような記事も掲載して、その中で何か一つでも、「面白いな」と思ってもらえるようなものがあればいいなというのが、やりたいことの根幹にありますね。

 

--インスピリッツは世界に目を向けた雑誌のようで、その根幹には日本への理解を深めたいという思いもあるんですね。ライターや編集の方々にはどういった方がいらっしゃるんでしょうか?

編集部のメンバーは現役学生や学生時代から関わってくれてる人たちが主ですね。
知的探求心を満たすことを目的に参画してくれている人もいれば、自分のキャリアのステップアップの場とすることを目的に編集やライター業務に携わってくれている人もいて、関わり方は様々です。

また、書物だけを基にした研究では、調べることができる範囲に限界がありますが、インスピリッツ編集部にはこれまで積み重ねてきた実績があるので、例えば、政治家や研究者といった方々に話を聞くなど、一般の学生ではできないアプローチを可能にする伝手があります。
こういったこともインスピリッツ編集部に所属するメリットの一つですし、実際、それを目的に編集に携わってくれている人もいるくらいです。
政治家や研究者の方々にとっても、若者が関心を持つことを喜ばしいことだと思ってくれるので、歓迎してくれるんですよ。

 

--ありがとうございます!編集部の方々も本当に優秀な方が多そうですよね!三宅さんは現在、二代目編集長ですよね。それだけしっかりした雑誌編集部の二代目就任ともなると色々と葛藤もあったかと思うんですが、いかがですか?

そうですね、実は私、ほんとに自分の意見に自信がないんですよ。
こんな活動していて変に思われるかもしれないんですが(笑)

研究者の道を目指したこともらありましたが断念したのは、自分の意見というか、自分が思っていることが、本当に正しいかどうか他人に聞かれたときに、そこまで持論に自信が持てなかったからなんです。
これは多分性格的なものですね(笑)

雑誌編集に関しても、各号のコンセプトを決めたりであったりとか、どういった記事を掲載するかとか、そういうことを考えないといけないじゃないですか。
そういったことは、私に向いてないと思ってたので、葛藤しましたね。
編集長という立場になると、ただ自分が気になるものを調べて、発信していくこととは訳が違いますし。

とはいえ、二代目編集長のなり手がいませんでしたし、それでインスピリッツという雑誌がなくなってしまうのであれば、向いてなくても私がやるしかないな、という思いで、二代目編集長に就任しました。
今でも向いてないと思ってますが、一種の使命感もありますね(笑)

なので、現在の雑誌作りの方針は、私が各号のコンセプトを考えるというよりは、ライターたちとの話し合いの中で決めていくようにしています。
ぐいぐい引っ張っていくタイプの編集長というよりは、整理するタイプの編集長といったところでしょうか。

(写真:「lector inspirits」第10号)

 

多角的な視点の提供と目新しい情報の提供

--すごいですね!三宅さんの責任感の強さを感じます。ちなみに、三宅さんがインスピリッツを通じて発信していきたい情報についてもお聞きしていいですか?

全部が全部そうではないんですが、日本のメジャーな情報誌に掲載されている記事というのは、例えば、国際問題であれば、日本という国の立場から見た情報をもとに作成されていますよね?
他にも、日本があまり直接的に関与しない中東等の地域に関する記事だと、アメリカの目線で語られることが多いですよね。そこ(アメリカ)から情報が入ってくるので。

そうなったときに、ロシアを始め、他の国々からの目線の情報誌ってあまりないと思うんですよ。
なので、インスピリッツでは、ロシアの目線に限らず、日本にない新しい目線による記事というのを意識しているんです。
取材させていただく方も、多くは日本人の研究者の方ではありますが、政治以外の目線で国際関係などを語ってもらったりしています。

雑誌として、最初の間口をいかに広くして、様々な情報を載せていくか、ということを意識していて、だからこそ、掲載している記事の内容を「初めて聞いた話」として、読者に面白がってもらいたい。そんなふうに思っています。

「(インスピリッツに掲載されている情報は)調べて、すぐに出てくる情報でない」というところも記事のコンセプトの一つかもしれません。
万人受けするようなものではないですが(笑)

 

--インスピリッツはコアな記事を掲載しつつも、間口を広げて幅広い方に読んでもらうことを意識した雑誌なんですね!

そうですね、なので、記事の内容を含め全体の構成がとても難しいんです(笑)

今思い出したんですが、学生時代に東京新聞さんとTBSさんのモスクワ支局でインターンをさせてもらったことがあるんですが、そこで働かれているジャーナリストの方々に言われた言葉の中で、すごく強く印象に残った言葉があって。

それは
「自分たちが発信したい情報と人が求めている情報は違う。情報発信で生きていくということは、人が求める情報を提供するということで、そうでなければ生活していくことはできない。これはジャーナリストの誰もが一度は通るジレンマで、好きな記事を書くには、自分が発信したい情報を発信できる立場まで登りつめるか、大手に所属しているという安定した立場を捨てるか、そのどっちかしかない。なので、自由に記事をかくことができる環境を大切にしなさい」
というものでした。

私たちがインスピリッツで発信している記事は、みんなが読みたい記事ではないかもしれないけれど、自分たちが発信したい情報です。
その中で、読んだ後からでも、いかに読んでよかったという気持ちにさせるか。
この部分にもこだわった雑誌作りを意識しています。

 

--いいですね〜!読んでいて、そのこだわりが伝わってくるような気がします!発信したい情報を発信する方が筆も乗りますよね!

そうそう(笑)

 

ロシア大統領選挙を通じて感じたやりがい

--インスピリッツの編集や報道関係のインターン等に携わっていて、やりがいを感じたエピソードはありますか?

それこそ、モスクワ支局でインターンをしていた時のエピソードなんですが、2017年の大統領選にプーチン大統領が突然出馬を表明した際、混乱するジャーナリズムの現場に立ち会うことができたことですね。

2017年はロシアのドーピング疑惑が取り沙汰され、平昌五輪にロシアが参加できないというニュースが盛んに報道されていて、国際的にもロシアの政治責任についての追及が高まっていた時期です。
また、次期大統領選に向け、著名人が候補者に名乗りを上げる中、プーチン大統領の去就が注目されている時期でもありました。

そんな中、現地の記者の方々も本当に驚いたと仰っていたんですが、プーチン大統領は、自身が出席したとある集会の会場で、出馬の有無を尋ねる司会者に対し、唐突に出馬宣言をしたんです。
これが本当に「まさか」のタイミングで、その瞬間から、どのテレビ局もバタバタと「プーチン大統領、出馬宣言」の速報を流し始めましたし、新聞も翌日の見出し変更に大慌てで取り組み始めました。

記者の方々、現地のロシア人を含め、とにかくみんな驚いていて、どの方も「このタイミングで(出馬宣言)!?」みたいなことを仰っていたのが、とても印象的でしたね。

私自身としては、そのタイミングでのプーチン大統領の出馬宣言は、五輪出場停止で盛り下がっている国内世論を、自身の出馬のニュースで明るい方向に持っていくことが目的だったんじゃないかと思っています。
このような様々な政治的な思惑や意図が絡み合っている瞬間、現場(ロシア)に立ち会えたことは、インスピリッツの編集に関わっていて本当によかったなと思ったことの一つですね。

 

欧亜創生会議内では専務理事として事務方を担う

--いいですね〜!同じくメディアに携わる者として、とても羨ましいです(笑)ここからは少し質問を変えさせてもらえればと思います。以前、代表の安本浩祥さんにもインタビューさせていただいたんですが、三宅さんは欧亜創生会議の発起人の一人でもありますよね?ぜひ、欧亜創生会議内での三宅さんの活動についてもお聞きかせしていただければと思います!

私は欧亜創生会議内では完全な事務方です(笑)
私以外のメンバーは全員、いわゆる一般企業に勤めてるんですね。
みなさん、自分の意思がしっかりあって、「自分たちの空いた時間で、アイディアを出したい!」といった熱量のある方々です。
ただ、組織としては、アイディアマンだけでなく、事務的な調整役も必要なわけで、それを請け負う人間がいないと、組織として回らないですし、誰かに負担が集中しますよね。
だったら、その負担を背負える人間がいた方がいいということで、私が専務理事という立場で、細々とした作業や調整を請け負っているんです。

また、先ほどのインスピリッツの話に戻りますが、こういった情報誌を発行することは、人材的な不安定さと金銭的な不安定さがつきものですよね。
その点、欧亜創生会議はそういった人材的な不安定さを解消するような組織構造にもなっているんです。
欧亜創生会議内には、どんな形であれロシアに関心を持っている人が多いので、そこから取材対象者などを紹介していただけますし、読み手としても、そこが受け口になるんですよ。
なので、インスピリッツは第10号から欧亜創生会議の機関誌という形で発行することになって、関心のある人たちに、よりリーチしやすい形になりました。
これは、私が欧亜創生会議に関わることで実現できたことの一つかなと思ってます。

ちなみに、欧亜創生会議では、他の事業を多角的に展開することで、主に金銭的な面で、自分たちのしたいこと(情報発信)を行うためのリスクヘッジをしているんですが、そうした事業間の調整なども担っていけたらと思っています。
これからも欧亜創生会議の事業の更なる安定化に貢献することができたらと考えています。

ロシアを好きになったきっかけ

--三宅さんはある種、欧亜創生会議における縁の下の力持ち的なポジションにいらっしゃるんですね!カッコいいです、ありがとうございます。ちなみに、先ほど、三宅さんからロシアへの関心=プーチン大統領への愛といったお話をお聞きしましたが、三宅さんがロシアを好きになったのもプーチン大統領がきっかけなんでしょうか?

いえ、実はプーチン大統領の前に、ロシアという国そのものを好きになったエピソードがあるんです。

私、ロシアに行ったときにパスポートを失くしたことがあるんですよ(笑)
モスクワからサンクトペテルブルクまでの寝台列車に乗った時に、列車の中にパスポートを置き忘れてしまったんです。
日本領事館にその旨を伝えに行ったら、「盗まれたんじゃなくて、自分でパスポートを失くした人は初めて」と言われて、めちゃくちゃ怒られました(笑)

ただ、その後、知り合いが探してくれて、結局パスポートは戻ってきたんです。
その時、正直、「戻ってくるんだ!」って思って。
今でこそ地下鉄も綺麗になったりして、犯罪率も低下してますが、ロシアですよ。
そんなロシアで、「私は唯一パスポートを自分で失くした人間で、しかも、人の善意によって落とし物が見つかって、戻ってきた人間」なわけです。

あと、パスポートが戻ってきたのは、帰国ギリギリだったんですが、それまでの緊張感から解放されて、安堵のあまり地下鉄で倒れちゃって(笑)
その時、ロシアの殺伐とした地下鉄の中で、一人のおばちゃんが水を持ってきてくれて、私の側に置いてくれたんです。

パスポートの件といい、おばちゃんの優しさといい、それまでのイメージと違うロシアの人たちの優しさに触れた時の記憶というのが、ずっと残っていて、今でも何か恩返しができればいいなと思っています。

普遍的な価値観からではなくて、自分の経験の中でロシアを好きになったっていうのは、自分の中で大きいですね。

 

今後の日ロ関係について

--今でこそ、笑えるエピソードとして話していただきましたが、当時は本当に大変だったでしょうね(汗)次は、ちょっと抽象的な質問になってしまうんですが、三宅さんの思う日ロ関係の今後についてもお聞きしてもよろしいですか?

ロシア好きな人間としては、「ロシア」がもっと日本で普及すればいいのにって思いますよね。
たぶん、それって、経済的な繋がりが強くなるのが一番の近道なんですよ。

例えば、日本は韓国とは政治的には対立していますが、韓国のカルチャーにはみんな関心があって、そこでお金が落ちる仕組みにもなっていますから、両国は切っても切れない関係になっているじゃないですか。

なので、経済的な繋がりのためにも、ロシアのいいものとかをもっと広めていきたいんですけど、なんというか、そのあたりの宣伝の仕方はロシアは少し下手だなと思いますね(笑)
あまり気にしてないというか、そもそも自国の中で経済的にも文化的にも、ある程度完結できてきた国なので、そこが日本人の感覚とは違うような気もしますし。
日本に関して言えば、例えば、食料時給率を見ても、外に目を向けないといけないことは明らかですから。

 

点在するパイプを集約して、日本とロシアの関係性をより強固にする。

--経済的な繋がりの構築のための一歩としてのPR活動というのも今後の日ロ関係における一つの課題になってきそうですね。最後の質問になってしまうんですが、ぜひ三宅さんご自身の今後の目標などについて教えてください!

そうですね、私個人に関しては、あんまり深くは考えてないんですけど、自分がやりがいを感じる分野で生計を立てていくっていうのは、なんだかんだすごく難しいことだなーと思っています。
とりあえず、欧亜創生会議やインスピリッツの編集部のメンバーはみんな「夢」を持ってる方ばかりなので、私自身は活動や事業の中での「実直さ」を意識するようにしています(笑)

欧亜創生会議に関して言えば、日本に散らばっているロシアとのパイプを、組織を通じて集約していきたいというのが私の目標ですね。
現状、ロシアとのパイプというのは、日本では本当にバラバラで、個人や会社などが「個」の単位で持たれているものがほとんどです。
これは、ロシア人が「人」との信頼関係を大事にすることにも起因しているんですが、だからこそ、長年に渡るパイプというのが維持されにくいんですよね。「人」がいなくなってしまうと、そこで繋がりも途切れてしまうので。
このような現象は、日ロの経済的な分野に限らず、政治、文化交流をはじめ、様々な分野で発生していることだと思います。

なので、点在するパイプを集約することで、ロシアと日本の関係性をより強固にすることができればと思っているんですよ。
まだまだ思っているだけの段階ではありますが(笑)

 

--ありがとうございます!今日はインタビューを通じて、三宅さんのプーチン大統領への深い愛情が知れて楽しかったですし、団体の運営についても三宅さんから学ばせていただくことがたくさんありそうです。本当にありがとうございました!

 

三宅さんが専務理事を務めていらっしゃる「一般社団法人 欧亜創生会議」の情報についてはこちらから(※欧亜創生会議のHP内にインスピリッツの記事へのリンクがあります)

名称:一般社団法人 欧亜創生会議
住所:神戸市中央区山本通2丁目14番22号
TEL:(078)-894-3318
E-mail:secretariat@europe-ace-asia.com
HP:https://europe-ace-asia.com

 

 

(インタビュアー/山地ひであき)

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