岡山県内で様々なロシアとの交流を行う高橋真一さんインタビュー
「ロシア文化から学ぶこれからのライフスタイル」

(写真中央:高橋真一さん)

日本・ロシアに縁をもつ「人」にスポットを当て、その「人」を紹介、そして「人」を通じて、ロシアの魅力や日本とロシアの関わりなどを、車でドライブするような冒険心を持って発信していく「日ロドライブ」。

第9回は岡山県内でヘアサロン「ヴィハーラ ヘアアンドビューティーライフサロン 」のオーナーをされているほか、様々な事業を行いながらロシアとのビジネスや交流事業も行っている高橋真一さんにお話を伺ってきました。

高橋さんは、30代で現在のヘアサロンの経営を始められ、現在はオーガニックカフェ・マーケットの管理など、多種多様な分野でのディレクション、プロモーションをメインに精力的に活躍されているほか、ロシアの関係では、ロシア人プロデューサーとの音楽プロジェクトやロシアのアパレルブランドの展開を試みられています。
そんな多種多様な分野で活躍されている高橋さんの根本にある考え方やロシアとのビジネス・交流を始めたきっかけ、ご自身が感じたロシアの魅力や特色などについて、たくさんお伺いしてきました。

(写真向かって右側:「日ロドライブ」インタビュアー・大森達郎)



--今日はよろしくお願いします!まず初めに高橋さんのことをよく知りたいので、簡単に高橋さんの経歴やプロフィールをお伺いさせてください。

こちらこそよろしくお願いします。
僕はヘアサロン「ヴィハーラ」のオーナーをしています。
元々はここ「ヴィハーラ」の前身となるヘアサロンの店長で、33歳の時に独立したので、オーナーとしては10年以上携わっていますね。
ヘアサロンで使っている薬剤などの中にも、実は、環境に良くないものや髪が必要以上に痛むものがあって、独立以前から、環境に配慮し、自然と共存できるようなヘアサロンとして仕事をしてはいたのですが、独立してからは、よりプロダクト等にもこだわってサービスを提供しています。
また、2011年の東日本大震災のときには、世界的に見ても安全な国と言われる日本にいながら、初めて、生命の危険みたいなものを感じて、より身近な生活を大事にして、住みやすい環境を作っていかなければならないと思うと同時に、より良い環境を子どもたちの世代にも残していきたいと思うようになりました。
2011年にイギリスの音楽フェス「Creamfields」に遊びに行ったときに、フェスの場を利用して、音楽を通じて人と人を繋げる取り組みが行われているのを見て、人や文化の重要性を再認識したことも、当時、とても刺激になりましたね。
これらの考え方が今の僕のベースになっていて、社会問題を解決するような事業やカルチャーを伝播させていくと同時に事業化にも繋げられるような仕組み作りを行っていきたいと考えるようになったんです。
東日本大震災後に、これからの食の安全を考えられたらと思い、いくつかの団体と共同でマルシェを始めました。そのマルシェを続けていく中で様々なご縁をいただき、ジビエ料理や中山間地域支援事業なども行うようになって、結果、今はオーガニックカルチャーを発信する「株式会社いち」を立ち上げ、こちらの経営も行っている。
といったところでしょうか。



--なるほど。高橋さんのベースにはそういった「環境」や「人」、「文化」を大切にする考え方があるんですね!そうした中でロシアとはどういった形で出会ったんですか?

ここまでロシアについては全く触れてませんでしたもんね(笑)
兵庫県の有馬温泉に創業から800年続く「陶泉 御所坊」という老舗旅館があるんですが、そこの若旦那の奥さんが海外の方で、友人にサンクトペテルブルクにあるダンスミュージックのラジオ局「Radio Record」のプロデューサーをしているロシア人で、Kefir(ケフィール)という人物がいるんです。
彼はすごく日本が好きで、昔からDJや音楽の企画で全国各地を回っていて、その彼とひょんなことから出会い、一緒にDJをしたり、音楽の企画をし始めたのが、そもそものロシアとの出会いですね。

また、先ほど東日本大震災の話をしましたが、福島の原発事故と関連して、チェルノブイリの原発事故以降のライフスタイルにも、とても興味を持つようになっていて。
というのも、放射能などは今も尾を引いている問題ですが、そのような問題がある中で、どのようなライフスタイルを送っていくのがベターなのかについて、ロシアから学べることがあるんじゃないかと思ったんです。



--原発事故後のライフスタイルについて関心を持たれていたんですね。そういった関心から、どのように交流を展開していったんですか?

ケフィールと時間を過ごし、チェルノブイリのライフスタイルに関心を持つ中で、日本の文化を知ってもらうこともまた、すごく価値があることだと考えるようになって。
岡山県の有名な工芸品である備前焼の中でも、たまたまご縁があった「黒備前」というものをロシアに伝えることができればと思って動き始めると、同じ岡山県出身のでロシア料理研究家の中川亜紀さんという方も興味を持ってくれました。
彼女をはじめとした多くの方の協力のもと、ロシアで行われた写真展と結びつけて、その場で、「黒備前」を紹介するという形でPRを実現することができたんです。
これ自体は、元々「陶泉 御所坊」で行なった企画をロシアで展開したものです。「陶泉 御所坊」が谷崎潤一郎を始めとする文豪たちとも所縁のある場所ということもあって、日本人ならではの美意識を描いた「陰影礼讃」をテーマに、そして音楽にもこだわって、僕たちが持つストーリーとして「黒備前」を紹介したというものでした。
ここから、文化を組み合わせながら、日本とロシアを近づけるような取り組みをしていくのが、いいんじゃないかと思うようになったんですよね。



--高橋さんはすごくクリエイティブな考えを持たれてて、課題解決やプロジェクトを立ち上げるなど、常に新しいことにチャレンジしているんですね!

ありがとうございます(笑)
ほかにも、以前、ロシアで食器などの販売事業をしよう思い、中川さんに相談したところ、ロシアのレストランをいくつか紹介していただいたりもしていて。
結果として、この食器販売に関しては、価格帯が日本の感覚とロシアの感覚では、あまり合わなかったり、輸送の問題などもあって、ビジネス的には結構難しかったんですけどね。
ただ、このように、仕事として訪問するロシアは観光で訪問するのとはまた違った見方ができて、とても面白かったです。
ロシア出張の間にレストランや料理教室にも行ったり、クラブなんかにも行ってみて、現地の食文化や音楽のカルチャーなど、ロシアの表面的な部分から深いところまでを考えながら見ることができ、得られるものの多い貴重な体験になりました。


--すると、やはり高橋さんはそこでロシアの魅力にハマったんですか?

そうですね、実際に行ったロシアは、それまで持っていたイメージと全然違って、親日的な人が多くて、みんないい人ばっかりだったんですよ。
現地の人とコミュニケーションをとってみると、楽しい人たちばかりでしたし、とても親切な人たちばかりでもありました。
僕がロシアに行ったのは秋で、その年はたまたま夏が長引いていたんですが、ロシアの人たちは短い夏を、いかに楽しむかといったことを熱心に考えていて、国全体としても、とても盛り上がっていましたね。
ロシアに行った経験を通じて、ロシア人の人の良さを体感したのはもちろんのこと、そういった、物事を積極的に楽しんだり、盛り上げたりするような姿勢を持つロシア人のことがとても好きになりました。


--最近は、ロシアに関するビジネスや交流事業はどういったことをされているんでしょうか?

今は、モスクワやヨーロッパを中心に販売されているロシアのアパレルブランドを日本で販売をしていくことを考えています。
そのアパレルブランドの人たちとは、まだ話を詰めている途中なんですが、どうやったら日本の人たちに魅力に思ってもらえるか、買ってもらえるかを彼らと一緒に考えるのは非常に楽しいですし、日本人にむけた製品開発の相談もさせてもらってるので、これからがますます楽しみですね。



--ロシアのアパレルブランド日本上陸楽しみです!最初の方の質問で、高橋さんは「住みやすい環境づくり」をご自身の人生のテーマに挙げられていたと思うんですが、それに関してロシアと繋げて考えられていることはありますか?

この前、ロシアに行ったときに初めて見たんですが、「ダーチャ」を使った文化やライフスタイルがすごくいいなと思いましたね。
「ダーチャ」というのはソ連時代から一般的に広まっていった菜園付きのセカンドハウスのようなものです。
この「ダーチャ」を持っているロシア人たちの中には、平日は「ダーチャ」のある郊外に近い都会などに住んでいて、週末を「ダーチャ」で過ごすといったライフスタイルを送っている人も多いんですが、このデュアルライフがすごくいいなと思っていて。
先ほど紹介した、「株式会社いち」では、中山間地域への支援事業を行なっているので、ここに「ダーチャ」の発想を取り入れて、中山間地域と私たちが普段住む「街」とのデュアルライフの選択肢を提供するというのは、支援事業をする上で、すごく価値のあることだと思ってます。
ここ岡山県は、庭で家庭菜園もできるくらい気候や土壌が穏やかで、「ダーチャ」を取り入れ、実践する環境として適していますし、今の世の中は、だんだんと経済優先の生活から質の高い生活にシフトしていく人が多くなっているとも思うので、こうした実験的取り組みをどんどん進めていきたいと思っています。


--高橋さんのFacebookの投稿の中で、最近キャンプに関する投稿を見ますが、これも「ダーチャ」と関係してるんでしょうか?

キャンプ場はDIY(Do It yourself)をコンセプトにしていて、何もないところで、いかに自分で考えて、自分なりに楽しめるかというところに重点を置いています。
確かにこういったコンセプトの設定も「ダーチャ」を知ったことが一つのきっかけになっていますね。
ロシアは国土が広いこともあって、移動に時間をかけることをあまり苦にしない傾向があるので、そういったことが「ダーチャ」を利用するデュアルライフの充実にも繋がっているんだと思います。
なので、国土の狭い日本なら、どこも近所だという感覚で、より自然を身近に感じるライフスタイルを送るのも選択肢として、ありなんじゃないかなと思っているんですよね。


--自然を身近に感じるデュアルライフ憧れます!他にも高橋さんが感じたロシアの生活やカルチャーの特徴などについてもお聞きしてもいいですか?

そうですね、ライフスタイルとも関係するんですが、驚いたのはサンクトペテルブルクの時給の安さですかね。
サンクトペテルブルクというと観光地としても有名で、物価が高いイメージがあるかもしれないんですが、実はかなり物価が安くて、労働者たちの時給も200円くらいだったりするんですよ。モスクワと比べると物価は半分くらいでした。

ほかには、民泊で有名なWebサービスを利用したんですが、現地の事業者との間で、日本では考えられないようなトラブルに遭遇したことなどは、異なる価値観ゆえだなと改めて思いましたね。


--それは災難でしたね~。実際に体験されることでより異なる価値観を理解できるのかもしれませんね。最後の質問になるんですが、高橋さんが今後、ロシアに関する事業、もしくは全体の事業を通して、この部分をロシアに絡めていきたいといったようなところをぜひ聞かせてください!

ロシアに関することについては、現状ではアパレルブランドの企画をきちんと事業化させることがこれからの目標ですね。
服などのデザインや機能性というのは、その土地のカルチャーがとても反映されるものだと思っているので、ロシアのカルチャーを伝える一つの手段として、アパレルを媒介にしていければと考えています。
ロシアのアパレルブランドを日本に広めていくことで、逆に彼らロシア人に対しても、日本の文化や風土を伝えることができると思いますし、その中で、どのように異文化コミュニケーションをとっていくかを考えることも、個人的にはとても面白いんですよね。
ロシア人たちは、自国の政治や歴史にとても関心を持っていて、自国のことを誇りに思っているので、話の引き出しが多く、自国に関する話も面白いです。自分の国に誇りに持っていることがエネルギーの大きさにもつながっているんじゃないかなと思いますし、広大な土地を持つこともあいまってか、心の広さやおおらかさも兼ね備えていると思います。
ロシア人が持つそういった力強さというのは、日本人にももっと必要なんじゃないかなと思うんですよね。
そのためにも日本人らしさのようなものに誇りを持てるような仕組みを作っていくことが大事だと思っていて、ロシア人たちとのコミュニケーションを通じ、僕自身はそうした部分に触発されて、とても良い影響を受けました。
こうしたコミュニケーションや、それによって受けた影響を通じて、新しいライフスタイルも見えてくるのかなと思っていますね。



--今日はありがとうございました!高橋さんの考え方やそれに基づく事業にすごく共感する部分が多くて、すごく勉強になりました!これから展開していくロシア関連のお仕事の話、また聞かせていただけるのを楽しみにしています!






高橋真一さんが発信している普段の情報はこちらから

Facebook:https://m.facebook.com/shinichi.takahashi2


高橋さんの運営する事業について

名称:ヴィハーラ ヘアアンドビューティーライフサロン
住所:岡山県岡山市中区中井1-17-18
電話番号:0120-67-9888
営業時間:9:30~19:00(last order cut 18:30 other 17:30)
Web:http://www.vihara-beauty.com/ 

名称:株式会社いち
電話番号:086-243-8133
Web:http://www.ichi-jp.com/

(「ヴィハーラ ヘアアンドビューティーライフサロン」の外観)
(「ヴィハーラ ヘアアンドビューティーライフサロン」店内の様子)

 




(インタビュアー/山地ひであき、大森達郎)