2021.02.28

日露文化オーガナイザー中川亜紀の
『お皿の上のロシア』第10回『白いビーフストロガノフ』

Columnist

中川亜紀

日露フードオーガナイザー、a.k.i. kitchen project代表。日本人向けロシア料理教室、およびロシア語話者向け和食教室を主宰。東京都教育委員会委託ロシア語児童の日本語講師およびサポート員として都内の小中学校にて指導もしている。「食は異なる文化の人々をつなぐ」をテーマに、日本とロシア(および旧ソ連圏)を食でつなぐ活動を続けている。

日本とロシアを股にかけて、「食」をテーマにした文化交流活動を行っている日露文化オーガナイザー・中川亜紀さんの料理と文化に関するコラム「お皿の上のロシア」全12回シリーズの第10回です。

 

前回までの連載記事はこちらから
(以下、中川さんのコラムです)
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3月8日国際婦人デーは国民の祝日

今年のロシアは、ロシア人でもびっくりするほどの大雪が何度かありました。
まだまだ春は遠く、その訪れを心待ちにしはじめるロシアの3月。

3月も雪が降りますが、そんな中、気分だけは少し春の気分になれるのが、3月8日の『国際婦人デー』
ロシア以外の欧米諸国でも女性にミモザなどの花をプレゼントする日ですが、ロシアではこの日は国の祝日となり、プーチン大統領から全国の女性に向けての演説もあるくらいの一大イベント。
8日自体は休日になるため、7日の仕事帰りの女性たちは、同僚にもらった花束を抱え、いそいそと帰宅を急ぎながら地下鉄に乗り込みます。当日には、家族や恋人からも花やお菓子をもらいます。
ちょっとおしゃれなレストランやお店などなら、この日に来店する女性にマカロンなどのサービスがあることも。

逆に言うと、あげるべき女性にうっかり花を渡し忘れたりすると機嫌を損ねかねませんから、男性としては、ちょっと気を遣う日かもしれません。
何しろ、自分のパートナーだけでなく、職場の同僚、習い事の先生からご近所のお年寄りまで、年齢層問わず、女性の皆さんに感謝する日なのです。
しかし、実際にモスクワで見かける、タイトスカートにパンプス、きっちりお化粧をした女性たちが、男性顔負けにバリバリお仕事をこなしつつ、家に帰れば育児に家事に、とあまりの万能ぶりに、「男性たちはどこでいいところを見せるのかしら?」と思うほど。

 

ロシア男性はいつ女性に良いところを見せる?

そんな頼もしくも美しいロシア女性ですが、一方、ロシア男性の魅力はどんなところでしょうか。まず道を一緒に歩く時には、必ず荷物を持ってくれたり、ドアを開けたりしてエスコートしてくれます。
また見知らぬ人であっても、ベビーカーを抱えて地下道に降りないといけない時、また突然帽子が吹き飛ばされた時など、周囲の男性がさっと手を貸してくれます。
地下鉄ではもちろん女性を優先して席を譲ってくれます。これらのことは、短期間でもロシアに滞在すれば、体験できるくらい当たり前のことです。

もう一つ、ロシア人男性が良いところを見せてくれるのは、なかなかの腕の器用さ。ロシアのホームセンターは巨大で、男性はしょっちゅう足を運びます。
家の中の壊れたところを修理したり、ダーチャと呼ばれる週末過ごす田舎の家を自分で作ったり。またダーチャでは、2020年2月にご紹介したシャシリクというロシア風BBQをしてくれるのも男性陣。

こんな男性たちにプレゼントする日も実はあります。
2月23日の『祖国防衛者の日』
この日も国民の休日となり、女性たちは、職場の男性や家族、恋人にプレゼントします。
いわば、日本のバレンタインデーがロシアでは2月23日、ホワイトデーが3月8日、という感じで、忙しいながらも心温まるこんな休日を大切な人たちと過ごしながら、長い冬が終わるのを待ちます。

(写真:ダーチャ)

 

(写真:サーモンを焼いてくれる友人)

(写真:友人の手作りのロシア風サウナ『バーニャ』)

 

実はスピード料理のビーフストロガノフ

日本ではちょっと手の込んだ料理のイメージのビーフストロガノフですが、実は本場ロシアのものはあっという間に作れます。
仕事も家事もこなす忙しい女性にはぴったり。この料理はサンクトペテルブルクに残るストロガノフ邸にかつて仕えたフランス人シェフが主人のために作った料理と言われています。
細く切った牛肉が硬くならないようにさっと炒めて、こくのあるホワイトソースをサワークリームでさっぱり仕上げるのがポイントです。

 

本格的な春を告げるのはその後

さてこの後、ついにロシアに本格的な春を告げるお祭り、『パスハ(ロシア正教会の復活祭)』と、その前の40日間におよぶ大斎(動物性の食品を避ける食事制限、実質いわゆるヴィーガン食)『ポスト』と、その前にお腹いっぱいロシア風クレープを食べるお祭り『マースレニッツァ』がやってきます。

『マースレニッツァ』は、元は土着信仰からきたもので、太陽祭とも。

太陽のようなまんまるでこんがり黄金色に焼かれ、バターの香りたっぷりのロシア風クレープ。
来月は、ロシア人の隠れたソウルフードとも言えるこのクレープ《ブリヌイ》のレシピをご紹介します。

(写真:「復活祭」を待つ間はネコヤナギを飾る)

 

 

“白いビーフストロガノフ” Бефстрогановのレシピ

(写真:白いビーフストロガノフ)

 

【材料(4人分)】

牛もも肉 400g
牛乳 150ml
たまねぎ 中〜大1個
バター 20g(玉ねぎ用)+20g(肉用)
しめじ、エリンギ、マッシュルームなど 合計2パック分
サラダ油 大さじ1
小麦粉 大さじ2
塩 小さじ1,5
サワークリーム 90ml
ケチャップ 大さじ1

 

【作り方】

1. 牛もも肉は5ミリ厚さに切り、更に筋肉の繊維を断つように5ミリ幅に切る。

2. 塩こしょうをして、小麦粉をまぶしておく。

3. 玉ねぎは薄切りにし、バター大さじ2でじっくり厚手の鍋で炒めて、ふたをして焦がさないよう、時々混ぜる。

4. 玉ねぎが茶色くなったら火を止めておく。

5. フライパンにサラダ油とバターを温め、牛肉を炒める。

6. 細かく切ったきのこ類も入れて炒め、その後、炒め玉ねぎとケチャップを入れる。

7. 小麦粉を入れてよく混ぜ、牛乳を少しずつ入れながらとろみをつける。

8. サワークリームを入れてさっとひとまぜしたら火を止め、塩こしょうで味をととのえる。

 

 

 

文/中川亜紀/日露文化オーガナイザーとして、ロシア料理の研究のほか、ロシア語通訳・ロシア語児童支援などの活動を行っている)

中川亜紀さんのHPはこちらから:http://www.aki-russia.jp/

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