2020.12.26

【コラム】日露文化オーガナイザー・中川亜紀の
『お皿の上のロシア』 第8回『オリヴィエサラダ』

(写真:ペテルブルク風、新年のサラダ “オリヴィエサラダ” レシピは記事下部にあります)

 

日本とロシアを股にかけて、「食」をテーマにした文化交流活動を行っている日露文化オーガナイザー・中川亜紀さんの料理と文化に関するコラム「お皿の上のロシア」全12回シリーズの第8回です。

 

前回までの連載記事はこちらから
(以下、中川さんのコラムです)
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今年はロシアも寒波が早く、すでに雪で真っ白になったモスクワの様子を、友人のSNS投稿やビデオチャットで見せてもらいつつ、今は行くことができないロシアの冬を恋しく思っています。

これから正月とクリスマスを迎えるロシアは、とても美しくてお伽噺の世界のよう。
街中に立つ大きなツリーや、通りを彩るイルミネーションでキラキラしています。
ちなみに「お正月とクリスマス」の順番で書いたのは、ユリウス暦を採用しているロシア正教のクリスマスは、1月7日となり、お正月の後に来るためです(生活全般はグレゴリオ暦です)。

そのため、年内は12月31日まで普通に労働日となり、31日の夜から友人や家族で集まってお祭り騒ぎとなります。
赤の広場では花火が上がり、お酒とごちそうが各家庭で用意され、夜は毎年お決まりのソ連映画『運命の皮肉』の放送があります。

 

そんなロシアの大晦日のご馳走に、絶対欠かせない料理、それが今回ご紹介する「オリヴィエサラダ」
材料は、日本のポテトサラダにかなり近いです。
日本のポテトサラダを味わったロシア人からは、「日本のポテトサラダは雑に作ったオリヴィエサラダみたい」と言われる事もしばしば。

日本のポテトサラダが家庭によって少しずつ違ったり、自慢のポイントがあったりするのと同様、ロシアのオリヴィエサラダも作る人によって少しずつ違いがあります。

今日お伝えするレシピは、以前サンクト=ペテルブルクから来日したロシア人シェフ・ヴィノグラードフさんに教えてもらった、ソ連以前の帝政ロシア時代の伝統的なサラダ。

(写真:ロシア人シェフ・ヴィノグラードさんと)

 

「オリヴィエ」という響きからも分かるように、このサラダの発案者はフランス人です。
帝政ロシアではフランス文化を多く取り入れた貴族文化が花開いていました。そのため建築や料理などもフランスの影響を大きく受けています。
日本でもおなじみの「ビーフストロガノフ」も、サンクト・ペテルブルクの貴族ストロガノフ家に仕えるフランス人シェフが、主人のために考案したもの。そのため、ロシア料理らしくないレシピです。
しかし、それがその後、ソ連になってからも引き継がれ、ロシア料理になりました。

オリヴィエサラダも同様、もともとはフランス料理らしく素材ごとに美しく調理され、きれいに盛り付けたられたサラダでした。
シェフがそれをロシア人に供したところ、ロシア人はその美しいサラダをぐちゃぐちゃに混ぜて満足そうに食べたのです。
シェフは「文化が違えば、美味しいと思える盛り付けも違うのだ」と理解し、それ以降、そのように混ぜて盛り付けるようになったとか。

 

ロシアでも日本の料理が人気ですが、ロシア風にアレンジされたものがほとんど。
日本に広がっているロシア料理も、ピロシキをはじめ、現地のものとはかなり違う形で伝わっているものもあります。
このように現地化されることで普及する人気メニューもあり、またそれをきっかけに他国との文化融合というのは起こるものです。

日本のカレーライスやラーメンなども、異国の料理が自国風に進化したもの。
ロシアで様々にアレンジされたお寿司に顔をしかめる日本人も少なくありませんが、現地で入手しやすい食材と、現地の人の口にあう味付けで普及していくことは、異文化交流の第一歩であることは、100年以上前の歴史からも分かります。

 

今回ご紹介するのは、貴族風で「うずら」が使われますが、ロシアでも現在は「うずら」ではなく、茹でた鶏肉などを使います。
皆さんも、ロースハムなど入手しやすいものに替えてアレンジしてみてください。
ケイパーを入れず、きゅうりをピクルスにするのも現地の一般的なレシピです。
ご家庭のお正月にロシアの伝統も取り入れて、《異文化交流おせち 》など楽しんでいただければ嬉しいです。

 

 

ペテルブルク風、新年のサラダ “オリヴィエサラダ”
Салат Оливье по-питерски

 

(写真:ペテルブルク風、新年のサラダ “オリヴィエサラダ”)

 

【サラダの材料(4人分)】

じゃがいも 3個
ゆで卵 2個分
人参 中サイズ1個
手作りマヨネーズ お好みで
卵 2個
塩、こしょう 少々
ケイパー 15g
うずら肉(無しもOK) 2羽分
きゅうり 1本
白ワイン(あれば) 少々

【手作りマヨネーズの材料】

卵黄 1個分
マスタード 小さじ2
塩 ひとつまみ
こしょう 少々
サラダ油、あればひまわり油 150cc
レモン汁またはワインビネガー、お酢 小さじ2

 

【作り方】

1. じゃがいも、人参、卵を茹でておく。卵は熱いうちに水につけて殻をむく。

2. うずらは白ワインを振って、塩こしょうを軽くして10分ほど置いておく。表面に油を少し塗り、190度のオーブンもしくは魚焼きグリルで焼き色がつくまで焼く。

3. じゃがいもと人参は皮をむいて7-8mm角に切る。卵はやや小さめに刻む。

4. きゅうりも7-8mm角に切る。ケイパーは水気をペーパーで拭き取っておく。

5. マヨネーズを作る。卵黄1個分にサラダ油150ccを糸を垂らすように落としながら絶えず混ぜる。もったりしてきたら塩少々とレモン汁、マスタードを加える。

6. うずら肉の足の部分以外は5mm角に切る。

7. うずらの足以外全ての材料をさっくりと混ぜる。

8. お皿に盛り付けて、うずらの足、イタリアンパセリ、あれば、イクラなど魚卵で盛り付ける。

 

 

 

文/中川亜紀/日露文化オーガナイザーとして、ロシア料理の研究のほか、ロシア語通訳・ロシア語児童支援などの活動を行っている)

中川亜紀さんのHPはこちらから:http://www.aki-russia.jp/

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