【コラム】日露文化オーガナイザー・中川亜紀の
「お皿の上のロシア」第4回『茄子とズッキーニのピュレ』

日本とロシアを股にかけて、「食」をテーマにした文化交流活動を行っている日露文化オーガナイザー・中川亜紀さんの料理と文化に関するコラム「お皿の上のロシア」全12回シリーズの第4回です。

前回までの連載記事はこちらから
(以下、中川さんのコラムです)
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日本では厳しい残暑に夏バテする人が多い、8 月後半から 9 月。
例えば首都モスクワでは、日暮れにはトレンチコートを出すこともあるくらいまで気温が下がります。

現在私は、コロナ渦で料理教室の開催が難しくなってしまい、食分野の仕事から、日本語講師の仕事 に軸を移しています。
岡山大学で学んだ文学の知識や読解技術を、ロシア人向け日本文学読書会などオンライン講座にも活かしています。

学生当時は、「文学なんて学んでも何のお金にもならない」くらいに思っていましたが、思いがけない成り行きで、その時の恩恵のおかげで7500km 離れたロシア の皆さんと、オンラインで繋がり、日本文学を共に楽しんだりしています。



そんな中、会話の始まりは、やはりお天気や気温のことになることもしばしば。
日本ではまだまだ30 度台を超えるような時期でも、モスクワでは、「今日は 12 度です」なんていうこともあります。
かといって、モスクワではいつも涼しいのかというとそうではなく、夏が訪れると、日本以上に厳しい日差しで 32 度を超える日もあり、夜は 10 時頃まで明るいです。


ただ、ロシアの夏はあまりに短いので す。
日本人が短い桜の季節を愛しみ、名残惜しむような感覚に近いのかもしれません。
夏の終わりを迎え、名残を満喫しようとするロシアの人たちの様子は、日本のわびさびの感覚に近いものがあるのでは、とさえ思います。



ところで、ロシアではこの「わびさび」という言葉を知る人が多く、よく「実際はどういうことを意味するの か」と質問されることも多いです。
和食レストランチェーンにも「wabi sabi」という有名なものもあるくらいです。
思うに、ロシア人は、欧米人の中でも、より日本のわびさびや、季節の移ろいに対する叙情を理解しやすい人たちなのかもしれません。



さて、食に関しても、夏の収穫を長い冬のために保存する作業が欠かせません。
夏のダーチャ(田舎の畑つきの家)で収穫した野菜やベリーなどを瓶詰めにする作業も終盤を迎えます。

マリネにしたものが多いですが、ピュレ状にしたものも。
夏に収穫される茄子や、カバチキと呼ばれる大きくて白いズッキーニに似た野菜は、くたくたになるまで 煮込み、ピュレにします。
冷やしてパンなどと一緒に食べると美味。
ブレンダーやミキサーがあればご家庭でも簡単にでき、冷やせば日本の残暑にもぴったりの保存食になるので、ぜひお試しください。


“茄子とズッキーニのピュレ”

(写真:茄子とズッキーニのピュレをのせたパン)


【材料(約4人分)】

なす 500g
ズッキーニ 500g
パプリカ 200g
トマト 200g
人参 200g
玉ねぎ 500g
にんにく 2かけ
塩 お好みの塩加減 こしょう 適宜
ローリエ 1〜2枚
オリーブ油またはひまわり油 大さじ3

【作り方】

1.人参と玉ねぎの皮をむく。一口大に切る。

2.残りの野菜も一口大に切る。

3.厚手の鍋に油をあたため、すべての野菜を入れて炒める。

4.塩とローリエを加え、ふたをして蒸し煮にする(圧力鍋、炊飯器などでも OK)。

5.くたくたに煮えたら、ローリエを取り出し、ブレンダーなどでピュレ状にする。

6.保存する場合は、塩を強めにする。煮沸消毒した瓶の口ぎりぎりまでピュレを入れ、蓋を堅くしめてひっくりかえす。冷めたら冷暗所で保存する。






文/中川亜紀/日露文化オーガナイザーとして、ロシア料理の研究のほか、ロシア語通訳・ロシア語児童支援などの活動を行っている)

中川亜紀さんのHPはこちらから:http://www.aki-russia.jp/