2019.06.25

香川県内でロシア語翻訳などの事業を行う「しらさぎ事務所」代表・十川宣治さんインタビュー
「飾らず、ストレートなところがロシアの魅力」

(写真中央:十川宣治さん)

日本・ロシアに縁をもつ「人」にスポットを当て、その「人」を紹介、そして「人」を通じて、ロシアの魅力や日本とロシアの関わりなどを、車でドライブするような冒険心を持って発信していく「日ロドライブ」

第2回は香川県綾川町で、ロシア語の翻訳・通訳やロシア語教室、コンサルティング事業などを幅広く行っている企業、「四国カムチャツカ文化交流センターしらさぎ事務所」(※以下、「しらさぎ事務所」と省略させていただきます)の代表・十川宣治さんにお話を伺いました。

社名につけられている「しらさぎ」はロシア・カムチャツカから来た学生が、香川県で一番美しいと感じる鳥だそうです。

翻訳・通訳やロシア語教室だけにとどまらず、留学サポートや文化交流などにも裾野を広げ、幅広い事業を行っている「しらさぎ事務所」。
そんな「しらさぎ事務所」の代表である十川さんにロシアに関心を持つようになったきっかけやロシアへの思いなどを情熱的に語っていただきました。

(「しらさぎ事務所」の看板犬で、ボルゾイ犬のレオンくん)




--十川さん、今日はよろしくお願いします!さっそくなんですが、まず最初に十川さんがロシアに関心を持つようになったきっかけをお聞きしてもいいですか?

こちらこそ、よろしくお願いします。
私のロシアとの出会いは、ロシア語を勉強し始めた大学生の時なんですよ。
当時通っていた大学では第二外国語として、英語のほかに、一言語選ばなければならなくて、選択肢としては五カ国語くらいありました。
その中にロシア語があったんです。ほかの言語に比べて、ロシア語は比較的習熟者が少ない言語だったのもあって、これなら一年生から始めてもついていけて、みんなと同じスタートラインで始められるかなと思ったんですよね。
時代的なことを言うと、当時はちょうど、ソ連からロシアに変わったころで、ゴルバチョフ書記長がペレストロイカを行ったりするなど、なにかとロシアが注目されていた時代だったのも、ロシアに関心を持つようになったきっかけです。
高校までは、まさかロシア語を学んで、ロシアにどっぷりハマることになるとは全く思ってなかったですね~。
歴史が好きな普通の文系高校生だったので(笑)



--ロシア語を学び始めたことがきっかけで、ロシアに関心を持つようになったんですね!

当時の大学のロシア語クラスで、先生からよく言われていたのが「毒を食らわば皿まで」という言葉で、一度ロシア語を学んだら、とことんロシアについて興味を持ちなさいと。
私の場合、まさにその言葉どおりになりました(笑)
日本ではそもそもロシア語を学んでいる人が少ないこともあって、「もうロシア語から離れていいかな」と思っていても、逆に、ロシアの方から縁がやってくるということが多々あるんです。
例えば、大学卒業後にふつうに就職した会社が、急にロシアに支店を出すことになって、社内でロシア語をかじったことのある人に、白羽の矢が立つ、ということも多いようです。
全くロシアのことを意識せずに、進路を選んだつもりが、いつのまにかロシア関係のビジネスに携わっているみたいな感じですね(笑)
そのようなお話をよく聞きます。



--ちょっと難しい質問かもしれないんですが、十川さんが思うロシアに感じる魅力みたいものってありますか?

うーん、なかなか難しい質問ですね~。
あえて言うとするならば、1人1人のロシア人の面白さ、人間的な魅力みたいな部分ですかね。ロシアにも色んな人たちがいると思うんですが、「どうすれば、この人と仲良くなれるだろう」といったことを、あれこれと考えて、いろんなアプローチを試みてくる方法が、豊かで巧みな感じがします。
ほかにも、感情表現がすごくストレートで、何を考えているのか、わかりやすいというのもロシア人の魅力だと思いますね。
どこか憎めない性格をしているところなんかも好きなところで、ロシア人からイタズラをされることがあっても、つい許してしまうんです(笑)


--現在、しらさぎ事務所さんが行っているロシアとの交流活動や取り組まれている事業についてお伺いしたいです!

しらさぎ事務所として行っているメインの事業は翻訳です。ロシア語を日本語に翻訳するのはもちろんのこと、日本語からロシア語への翻訳も行っていますし、旧ソ連15カ国の言語や東欧の言語などにも対応できます。
たまに、お客様から「ついでに英語や中国語、韓国語にも翻訳してほしい」とのオーダーもあるんですが、こちらの方も弊社では対応できるようにしてますよ。しらさぎ事務所は創業が2010年で、来年で10周年を迎えます。
創業以前はロシアの極東部に位置するカムチャツカに住みながら、教員をしていました。カムチャツカに住んでいたときは、地元の人から「ロシア語→日本語」への翻訳を頼まれることもあったりして、当時から片手間ではあるんですが、翻訳業はやってたんですよ。
カムチャツカにいたときの仕事仲間や友人とは今でも親交がありますね。

ほかには、ロシアからの留学生の受け入れ事業なども行っています。
この事業は香川県の学校法人・穴吹学園さんが、カムチャツカからのロシア人留学生を受け入れてくださったことがきっかけで始まったもので、今まで続けている事業です。
穴吹学園さんには日本語学科があるんですが、この学科に、日本語を勉強したいロシア人留学生を受け入れています。最初は夏の間、日本語を学ぶコースで、大学生が多いですね。
その後、本格的に日本語を学びたくなった留学生向けに1年間日本語を学べるコースもありますし、日本で就職したいとなれば、各種資格を取得できる専門学校を卒業するコースなどもありますよ。



--しらさぎ事務所さんの事業を行ったり、ロシアとの交流活動を行う中で、一番嬉しかったエピソードなどはありますか?

どんな職業でも一緒かもしれないんですが、やはり「お客様に喜んでもらえたとき」というのが、この仕事をしていて一番嬉しい瞬間ですね。
翻訳であれば、依頼してくれたお客様が喜んでくれて、お礼のメールをくださったとき、留学事業であれば、受け入れたロシア人留学生の喜ぶ顔を見られたときなんかは、この仕事をしていて本当によかったなと思う瞬間です。



--逆に事業をしていて、一番苦労したことについてもお聞きしていいですか?

今思えばなんですが、しらさぎ事務所を創業してからの最初の3年間が一番苦しい時期だったような気がします。
そのころは、今よりも事業が安定していなくて、昼間アルバイトしてから、夜に本業の翻訳を行う生活なんかもしてました。
やはり、自営業なので、安定した収益というものを作るのがなかなか難しいと感じますし、いつになってもなかなか安心しきれないというのはありますね~。



--ここから少し十川さんのパーソナルな部分についても触れてみたいと思うんですが、十川さんのおススメのロシアカルチャーってありますか?

大学時代に専攻していたこともあって、私はロシア文学をおススメしたいですね。
卒論はロシア人作家のトルストイについて書いたんですが、ほかにも「罪と罰」のドストエフスキーの作品をはじめ、奥深いテーマを扱った、今読んでも色褪せない魅力を持った作品が多いのが特徴です。
ロシア文学というと古典的で、今の若い人は、なかなか読んだことがないかもしれませんが、映像化されている作品も多いので、そちらから入ってみるのもいいかもしれません(笑)



--これまでの人生の中で、十川さんが尊敬する人はいますか?

私がいちばん関心があるのは、ロシアのふつうの人たちですね。
ロシアに約10年間住んで、ロシアの人たちと接していて一番感じたのが「人生ってこう生きてもいいんだ」ということです。
というのも、今の若い人たちは少し違うかもしれないんですが、私たちの世代っていうのは「人生はこうあるべき」みたいなのがなんとなく決まっていて。
そういった概念のようなものを打ち壊してくれたのが、ロシアに住んでいた年月なんです。
私が、住んでた時代のロシアっていうのは、ソ連が崩壊して、国が新しくなったことで、既存の価値観が音を立てて崩れていたんですね。
社会主義国家であるソ連の時代には、国民の生活を国が守ってくれていましたけど、ソ連の時代が終わるとともに、年金がなくなって、給料も毎月支払われなかったり、電気や水道などのインフラもままならなくなる状況になりました。
そうした状況下で、生き抜いてきたのが、当時のロシアの一般市民なんです。
こうした背景が直接的な原因かどうかはわかりませんが、どこかロシアの人々というのは「自分の運命の主人公は自分である」ということを分かっているような気がします。
ロシア人の生き方はさまざまで、それこそ家族を一番に大切にする人もいれば、信仰を大事にする人もいます。
私の住んでいたカムチャツカが、ロシアの中でも田舎で、純朴だということもあるかもしれないんですが、それぞれの人が自分に正直に、飾らず、ナチュラルに生きているといった感じなんですよね。
そんな彼らと、生活の中で接することで、私自身の価値観は本当に変わったと思います。

--ぜひ、最後に十川さんから、しらさぎ事務所についてやロシアとの交流についてPRをしていただければ!

そうですね、ロシア語やロシア文化に触れていただくという意味では、ロシア語の集団授業のほか、個人レッスンもしているので、興味のある方はぜひ、「しらさぎ事務所」のドアを叩いていただければと思います。
ほかには、日ロ両国間での人の交流がもっと進んでほしいという思いがありますね。
たしかに増えていってはいるんですが、貿易額なんかも含めて、右肩上がりというわけではなくて、時期によってはガクッと下がったりしていますので。
私の経営するしらさぎ事務所は小さな会社ですが、これまで同様に、「人」を大事にして、コツコツと草の根的に事業や交流活動を進めていきながら、そうした活動が日本とロシアの友好に繋がっていけばいいなと思っています。



--十川さんのロシアに対する熱い思いが聞けて、とても楽しかったです!勉強になりました。十川さん、この度は快くインタビューに答えてくださり、本当にありがとうございました!





十川さんの経営されている「しらさぎ事務所」の情報はこちら

会社名:四国カムチャツカ文化交流センターしらさぎ事務所
住所:香川県綾川町畑田2267-1
連絡先:087-877-2507
HP:http://darkeyes.sp.land.to/

(「しらさぎ事務所」外観 レオンくんも出迎えてくれる。)




(インタビュアー/山地ひであき)

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