日本とロシアを股にかけて、「食」をテーマにした文化交流活動を行っている日露文化オーガナイザー・中川亜紀さんの料理と文化に関するコラム「お皿の上のロシア」全12回シリーズの第7回です。
前回までの連載記事はこちらから
(以下、中川さんのコラムです)
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日本では秋が深まって紅葉も楽しめる11月から12月、ロシアではすっかり冬の空気になります。シベリアのような寒い地域では雪が降って池に氷が張り始めます。
モスクワやサンクトペテルブルクでも初雪が降ることがあり、まだ氷点下にはならないものの、気温は一桁台です。
特に今年はコロナ渦で、ロシアも現在、かなりの勢いで感染者が増えています。
春や夏くらいまでは、「コロナはフェイク」と主張し、マスクなどの対策をしないロシア人もかなり多くいました。
過去の歴史から政権やマスコミ情報への不信が強く、世界の中でも、コロナを信じないために感染者が増えた国の一つではないでしょうか。
しかし今や、必ず親近者に感染者が出ているくらいの勢いのロシア、さすがにもう「コロナなんて作り話だ」などという人は聞かなくなりました。
その代わりに、「郷里にいる両親が感染しました」という友人知人が増えました。
また私自身の身近なロシア人も亡くなったり入院している人が出てきました。
ロシア人が、コロナに限らず、感染予防に気をつけていないわけではありません。
ただ、マスクや手洗い、というのが習慣としてはないのです。
しかし日本人とは違う視点で彼らも、厳しい冬に感染しないように気を付けていることがあります。
〇 帽子、マフラーなどを欠かさない
ロシアは気温が低いだけでなく、非常に乾燥します。そのため、気管支や肺に負担もかかります。
冷たい空気が直接鼻や口から入らないように、マフラーなどで口と鼻を覆い、耳も帽子で隠します。
〇 冷たい飲み物を飲まない
外気は氷点下になっても室内は集中暖房で25度近くに保たれているロシア。
室内ではTシャツ一枚でも快適、分厚いお布団などもなれければ、トイレやお風呂の時に寒いなんてことはありません。
でも冷蔵庫から出した冷たい飲み物は飲まないようにしています。
私がモスクワで子供に冷たい牛乳を与えていたら、当時のお手伝いさんがびっくりしたのを覚えています。
〇 寒さに負けない食事、ビタミン摂取
そしてもちろん食べ物。我々が駐在していた頃、子供たちはまだ幼稚園と小学生。
そこに、ピアノの先生が、「ブテルブロード(ロシア風のオープンサンド)を食べなさい!」と、パンに3ミリ厚さは超えるバターとチーズを乗せて子供たちに食べさせようとしたのです。
「日本人の子供にそれだけの乳脂肪は体に悪いです」と言ったところ、「日本人でも住んでいるのはロシアなんだから、ロシアの冬を超えるために必要なのよ!」と言われました。
新鮮な野菜が夏しかないロシアでは、ビタミン摂取にも気を付けています。
冷凍のベリーで作る「コンポート」というドリンクや、様々なフルーツティーなど、温かい飲み物にしてビタミンを摂ります。
ロシアのカフェではぜひ注文したいドリンクメニューです。
またご存知のビーツは、スーパーフードでもあり、栄養たっぷりですが、加熱しないで生で食べるとビタミンもしっかり摂れます。
ドライフルーツやナッツも肌の乾燥を防ぎ、感染予防にも役立ちそう。
今回は、それらを美味しく簡単に食べられるレシピをご紹介します。
マヨネーズは手作りをご紹介しますが、忙しい時は市販品でも。
“ビーツとあんずとくるみのビタミンサラダ”
【手作りマヨネーズの材料】
卵黄 1個分
マスタード 小さじ2
塩ひとつまみ
こしょう少々
ワインビネガー 小さじ2
サラダ油 150g
レモン汁 小さじ2
【サラダの材料】
人参 1.5本(200g)
生ビーツ 200g
干しあんず 6、7個
塩 小さじ1/2
サワークリーム 100ml
くるみ 30g
【作り方】
1.“手作りマヨネーズ”の材料であるサラダ油とレモン汁以外のものを全てボウルに合わせ混ぜておく。そこへ、サラダ油を糸を垂らすように少しずつ加えながらミキサーで混ぜる。最後にレモン汁を混ぜる。
2.ボウルに、人参と生ビーツをチーズおろし金の一番粗い面でおろしておく。
3.くるみは、オーブンで3分ほどローストして冷めたら刻む。
4.刻んだ干しあんず、サワークリーム、塩、手作りマヨネーズのうち半カップ分を加え、よく混ぜる。
5.2のボウルに4を加え、くるみの8割を入れてよく混ぜる。
6.皿に盛りつけ、残ったくるみをふりかけて飾る。
(文/中川亜紀/日露文化オーガナイザーとして、ロシア料理の研究のほか、ロシア語通訳・ロシア語児童支援などの活動を行っている)
中川亜紀さんのHPはこちらから:http://www.aki-russia.jp/
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